半衿の帖(その1)

「着物を綺麗に着付けるコツを教えて?」と、よく問われるが、着付け以前の問題を解消しなければ本当の身体に馴染んだ美姿は生まれません。
第一は、襦袢・着物・帯の三要素を自身の体型を理解した上で、着物寸法を割り出し仕立てる事である(体型と寸法の話は次回)。
とはいえ現状は、まちまちの寸法着物ばかりなら、十分に資金がないと襦袢から帯に到るまでを仕立て直すなんて「とても無理」というもの。
先ずは襦袢の要、衿元事情をご理解頂き、早速、お役立ちポイントをお知らせできればと節に存じます。

長襦袢の仕立て方で、半衿付けは大きく変わります。
一般的に、襦袢仕立ては、関東仕立て(通し衿)と関西仕立て(広衿・棒衿・バチ衿)に分けられますが、主流は関西仕立てのバチ衿型。
このバチ衿半衿付けにも3種類の方法がみられます。

1.半衿に三河芯をのせて、襦袢に縫い付けていく方法。
2.芯無しで襦袢に半衿を付けていく方法。
3.ポリエステルの仕立て衿を襦袢に(肌着の場合も有)縫い付けてしまう方法(この仕立て衿は単独でも使用可能)

1については、今も昔も健在。私も以前は、日常的にこの仕立で着物ライフをこなしていました。
重宝したのは三河芯の変わりに、衿付け内側にシワの出ないポリエステルのバイヤス芯を使用したこと(半衿付ポリエステル長襦袢用)。
長襦袢はシルク一辺倒でも半衿はポリエステル愛用(色味が白くベンジンにも強い)。
一枚の長襦袢に、半衿3枚付けし、着用後はベンジンで汚れを取ってからハンガー吊るしへ。
汚れがとりにくくなったら、ペリペリっとはがして洗濯機へ、時にはゴミ箱へ。
但しこの三枚付けの難点は衿元が厚く重くなるので鳩胸の私には不向き。
その解消法として、縮緬や塩瀬などの厚布は避け、薄手のパレス地や綸子地を主に利用。
そして3枚とも折り込み無しの断ち切りで半衿を付けていき、綸子地なら4枚重ねてもスッキリです。
経済効果を狙うなら、先にポリエステルの白襦袢地を反物で買い、そこから、自分に合った衿付け寸法でハサミを入れていく。
私の場合だと(11,5cm×100cm、この衿寸法も個人で違いがある)、一反で39本取れ、15000円ぐらいの襦袢地なら、半衿代が一枚384円、当時の私好みは、東レの紗綾形紋綸子地6800円のバーゲン品買いでした(笑)。

2については、私が現在利用している衿付け法、これも半衿はポリ愛用。
大切なのは、はめ込み芯の選び方。多様な芯が売られていて、メッシュもの・バイヤス縁取りされているもの・白く厚みのあるものetc。
プラスチック製の硬さがあるものは、着付けて時間が経つと着物も跳ね返す位に浮いてきて、「衿」着崩れの原因に。
私が重宝しているはめ込み芯は、透明・薄い・衿形に沿ってアームを描いている・手の平で圧をかけると自分の肩に自然に添う(この商品、販売店が余り無い、2枚で300円程度)。

3に至っては、オリジナルで製作した仕立て衿の場合、撮影時や着物早変わりイベント、振袖や花嫁衣裳・舞台衣装、等で活躍する。
その場合、晒し木綿の肌襦袢襟(2cm)にも細めの衿芯を入れ、衿抜きを、より美しいU型に仕上げていく。
市販の仕立て衿(美容衿)を襦袢に縫いつけた場合は、取り扱いの説明に従い着用する。
襦袢に縫い付けるとき、ザクザク2cm間隔で楽々な針仕事となり、洗濯は、衿はずし後ネット洗いで洗濯機へポン。
但し、長年使用していると、衿色味が少々くすみ、半衿のみの取替えはきかないので、あらためて全体購入する事になります。

森荷葉拝 2014年2月16日
続き(その2)は3月3日です。
「京都祇園町お茶屋女将の日々の衿付けと簡単衿付け事情」

取材協力
松尾 嘉子 先生
19歳より和裁と着装を習う。
大手着物学院にて12年間、和裁をしながら講師としても活動する。
平成18年、独立しフリーで「着装士」・「和裁士」・「和裁講師」など多方面で活動中。
(NHKおしゃれ工房など多数女性誌出演)

※本ブログの無断転記を固くおことわり致します。